昭和51年2問
(1) Bは、A所有の山林を買受け引渡を受けたが、移転登記しないままでいたところ、この山林をAから二重に買い受けて移転登記を済ませたCが、Bに対して明渡しを請求した。Bは、「二重譲渡の結果、Aに対して債務不履行による損害賠償請求権を取得したので、この請求権に基づき留置権を行使する」と抗弁できるか。
(2) この山林には、Dが、Aに無断で、Cへの移転登記の時より数十年前に植栽し、今日まで育成し続けてきたところの杉立木が存在する(明認方法は施されていない。)。DはCに対して、この杉立木の所有権の時効取得を主張できるか。
(3) この山林をCが買い受けたのは、恨みを抱いているBに復讐するためで、20数年も前にBが買い受けていることを知りながら、Aに懇請して時価の一割の価格で買い受けた、というような事情があるとする。この場合、Bは、自分に所有権ありと主張して、Cに対して移転登記を請求できるか。

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もう一門出題します。

前回の復習。

乙は、甲から同人所有の新築・未登記の家屋を買った。ところが、乙が登記を経由しないうちに、甲は、丙に賭博で敗れて300万円の債務を負担し、その弁済にかえて上の家屋の所有権を丙に移転することになり、その家屋を丙に引き渡した。甲・丙間、乙・丙間の法律関係について、次の各問いに答えなさい。
イ) 丙は甲に対して所有権移転登記手続きを請求したのに対し、甲は丙に対して家屋の返還を請求した。甲・丙いずれの請求が認められるか。
ロ) 乙は丙に対して、家屋の所有権取得を請求できるか。
 また、乙は、甲の丙への代物弁済に対し債権者取消権を行使しうるか。
〔昭和50年1問〕

乙は甲からその所有の土地を賃借し、その地上に家屋を建築してこれを丙に賃貸し、現在丙が居住している。次の各質問に簡単な理由を付して答えなさい。
(1) 甲は、乙の丙に対する家屋の賃借権は、当然のその敷地を利用させる契約を含むから、土地賃借権の無断譲渡になるという。はたしてそうか。
(2) 甲と乙が土地賃貸借契約を合意解除したうえ、甲から丙に建物の明渡しを求めてきた。丙は明渡さなければならないか。
(3) 借家人丙が乙からその賃借家屋を譲り受け、代金全額の支払いを終わったが、移転登記のすまないうちに、乙はこの家屋を善意の丁に二重に譲渡し、移転登記を完了した。丁から建物の明渡しを求められた場合、丙は明渡さなければならないか。
(昭和51年1問)